国際アニメーション・デー 2023 の開催を祝して

  今年も国際アニメーションデー(IAD)を迎えることができ大変嬉しく思います。
 世界のアニメーション関係者の皆様、そしてアニメーション芸術の愛好者の皆様、また、ア ニメーションの世界で活躍することを目指して研究や制作に励んでいる学生の皆様と共に、「 アニメーションの日」をお祝いしたいと思います。

 IADは、国際アニメーションフィルム協会(ASIFA)が制定したアニメーションの記念日です 。1892年にエミール・レイノー(1844 - 1918)によって世界で初めてアニメーションの一般 公開が行われたとされる10月28日を中心に、その前後の日程で、世界中で一斉にアニメーショ ン芸術の発展を願ったお祝いが行われます。2002年に第1回が開催され、今年で22回目を迎えることになりました。日本ではASIFA-JAPANが主催して2005年から毎年開催されており、アニメーションの上映や展示、講演、ワークショップなどを行っています。
 今年の日本でのIADは、西舞鶴と京都そして厚木の3ヶ所で実施いたします。
「IAD 2023 in 西舞鶴」では、ASIFA-JAPAN会員の今井隆介さんにご尽力いただき、京都芸術大 学からの助成を得て、『ASIFA-JAPAN作品集 Vol.1』の公開上映を西舞鶴にあるセイス/シネ・ グルージャにて開催いたします。また、「IAD 2023 in京都」では、京都芸術大学大学院の公開授業として木下蓮三・木下小夜子特集上映を実施し、木下蓮三さんのイラストレーションやNY 国際アニメーション映画祭のトロフィーなど貴重な資料の展示も予定しております。さらに、「IAD 2023 in あつぎ」では、ASIFA-JAPAN会員の福本隆司さんの企画で、神奈川工科大学 の特別講義として上映を予定しております。ご支援を頂きました関係者の皆様には、この場をお借りして御礼申し上げます。

 ようやくコロナ禍が一段落し人々の交流が再開したものの、戦争はいまだ終わる気配を見せず 国際関係も緊張を増しているように思います。私ごとになりますが、今年6月にASIFAの草創期からのメンバーでアヌシー映画祭の設立にも携わったニコール・ソロモンさんをお訪ねし、広島国際アニメーションフェスティバル(1985 – 2020)が設立された頃のアニメーション界の状況について、お話を伺いました。この取材を通じて、ASIFAの創立者とその後継者たちが大切に育んできたLOVE & PEACEの精神が今まさに必要とされていること、アニメーション芸術を通じて世界の皆さまとこの精神を共有してゆくことの重要さを改めて再認識いたしました。今年のIADもこうした取り組みのひとつとして実施して参りたいと思います。

2023年10月

ASIFA-JAPAN会長代行
大西宏志