IN京都/プログラム

ハイブリッド・アニメーション&ITFS受賞作品集

デジタルツールを手にした作家たちは、新たな手法で映像に命を吹き込む始めている。
ジャンルを超えたハイブリッドな作品を、特に近年多く輩出しているフランス作品を中心に、
ドイツ・シュトゥットガルト国際アニメーションフェスティバル(ITFS)受賞作品を交え、アニメーション表現の多様性を俯瞰する。

プログラム提供:PLEIX / Sacrebleu Productions / Autour de Minuit Productions
/ KIMUAK/Euskadiko Filmategia-Filmoteca Vasca / 岡本珠希 (CaRTe bLaNChe)

10月25日(土) 19:00 〜

(1)Sometimes(サムタイムズ)
Directed by: PLEIX / 2003 / 03'02" / フランス

PLEIXは、映像作家、ミュージシャン、グラフィックデザイナー等で構成されるアーティスト・ユニット。
ただひたすら、物質的破壊という現象に伴うエネルギーとダイナミズムを、 極限まで幻想的に表現することを試みた作品。

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(2)La memoria dei cani ( 犬たちの記憶)
Directed by: Simone Massi / 2006 / 08'00" / イタリア、フランス
第14回ITFS グランプリ / 第11回広島国際アニメーションフェスティバル 木下蓮三賞

ミニマルなスタイルおよびサウンドのストレートな強さが引き立つ、 2Dドローイングアニメーション。
躊躇するほどに見る者を捉えて離さない、力強く描かれた少年の目は、生への尊厳を静かに訴えてくる。


(3) Empire(エンパイア)
Directed by: ?douard Salier / 2005 / 04'00" / フランス

平和に満ちたレトロな日常風景を無数に走る、兵器の透かし画像。
それは強大な軍事力や経済力によって維持される、「パックス・アメリカーナ」(アメリカによる平和)を揶揄する。
巧みなヴィジュアル効果で、痛烈なアイロニーを表現。


(4) Apn?e(一瞬間)
Directed by: Claude Chabot / 2006 / 04'00" / フランス

360度のアングルから捉えられた各シーンに、慎重に配置された手がかりを拾い集めて行くと、
ある瞬間の物語が組み立てられる。
写真のようにリアルな3DCGを巧妙に使い、新鮮なストーリーテリングの手法を提示した作品。
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(5) Obras(オブラス)
Directed by: Hendrick Dusollier / 2004 / 12'00" / フランス

『オブラス』(複数形)とは、スペイン語で『工事』を意味する。
久しぶりに訪れたバルセロナで作家が目の当たりにした、都市の破壊と再構築の現実。
批判とノスタルジーが入り混じる、時空を超えたグラフィカルな映像の旅。


(6) Birds(バード)
Directed by: PLEIX / 2006 / 02'34" / フランス

『ピュアな幸福感』を表現するために、次々とジャンプさせられた犬たちが、
鳥のように軽やかに、超スローモーションで空を舞う。 美しくもリアルに迫る、
体毛の一本一本、筋肉の動きひとつひとつが、ピュアな感動を喚起する。


(7) Hezurbeltzak, una Fosa Comun"(ブラック・ボーンズ)
Directed by: Izibene O?ederra / 2007 / 04'30" / スペイン
第15回ITFS アニメーション音楽賞受賞

湧き出る心象をひたすら描き続けた、 ドローイング制作をするアーティストの初映像作品。
極めて私的なアニメーションを、 無機質なエレクトリックミュージックが淡々と彩る。


(8) Tyger(虎)
Directed by: Guilherme Marcondes / 2006 / 04'30" / ブラジル

通りを悠々と練り歩く巨大な虎は、人間だけでなく、 遂には都市をも野生へと解放して行く。
黒子が操る張り子の虎が、奇妙な迫力とミステリアスな雰囲気を醸し出す、
ウィリアム・ブレイクの同名詩にインスパイアされた作品。


(9) Meischeid(マイチャイド)
Directed by: Matray / 2007 / 02'18" / フランス

見事な視聴覚の一体感を表現した本作品は、全編フリーウェア(無料)の3DCGソフト「Blender」にて制作された。音楽との繊細な融合は、コンピューターグラフィックを、 とてつもなく有機的に感じさせてくれる。